東京地方裁判所 昭和50年(ワ)4351号 判決
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【判旨】
(一) 昭和四五年一〇月一三日、米太郎の相続人である原告、サト、孝吉及び米一の被告に対する大谷重工株式九万八、一二三株の売買代金債権(一株あたり四〇〇円。合計三、九二四万九、二〇〇円。)につき債権者大谷重工、債務者右原告外三名、第三債務者被告とする債権仮差押決定がなされたこと、同五一年一月二六日、右代金債権中三、五三〇万五、五一〇円につき、債権者、債務者、第三債務者を右と同じくする債権差押、転付命令がなされたこと、昭和五一年二月一七日、被告が大谷重工に転付された右三、五三〇万五、五一〇円を同社に支払つたことは当事者間に争いがない。
(二) ところで時効中断事由として民法一五四条に定める差押、仮差押は権利者が自ら行なわなくてはならず、債権者(大谷重工)が債務者(原告、サト、孝吉及び米一)の第三債務者(被告)に対する債権を差押(仮差押)えることは被差押債権の消滅時効を中断するものではないと解されるので、前記昭和四五年一〇月一三日の仮差押は本件株式売買代金債権の消滅時効中断の効力を有しない。
(三) 又、時効利益の援用、放棄の効果は相対的なものであるから、被告が消滅時効の完成後に転付債権者である大谷重工に対し株式売買代金の一部を支払つたことをもつて直ちに原告との関係においても時効利益を放棄したこととなるものではなく、信義則上時効援用権を喪失させるべき事由の存在もこれを認めるに足りる証拠はない。
(佐藤安弘 小田泰機 高林龍)